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第3幕
「秋穂?」
「ひゃっ!」
またぼーっとしていた。
颯太がおかわりのジョッキを、また首筋に当ててきた。
「もう、驚かさないで!」
私がそう言いながらジョッキを受け取ろうとすると
「これでビールは終わりだって言ってくれたら、あげる」
「わかった!わかったから!お預けしないでー!」
「はいはい」
颯太は私にジョッキを渡す。
そして空いた手で私の頭をまた撫でる。
空を見ながら、2杯目のビールを飲む。
雲一つない満月だ。
「ねえ、颯太」
「ん?」
「どうせなら、こういう時に言って欲しかったな」
「何を」
「しようかって」
「しようかって……」
颯太は一瞬だけ考えたふりをして、悪いことを考えたような笑みを浮かべ、耳打ちする。
私は、その言葉を聞いて、真っ赤になってしまった。
「ばか」
そう返すだけで精一杯だ。
きっともうすぐ、新しい家族が生まれるのかも……しれない。
そうなる前に、もう少しビールの量を減らす努力をしてもいい……かも?
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