第1幕

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「大声出させることをしたのは、あんたでしょう」 と、文句を言いながらも、颯太からビールを受け取ると、私は一気に飲み干す。 「泡、ついてるよ」 と颯太が言いながら、私の口から泡を取り、ぺろりと舐める。 「なっ……なななななななな!」 何すんのよ!と言いたいのに、動揺してしまい、言葉がうまく出てこない。 「相変わらず、かわいい反応するね」 「うっ……うるさいうるさい!」 「はいはい」 「……で、何を覚えてるって?」 「まさか、あのワーカーホリック秋穂さんが、こんな時間にもう家にいるなんてな〜……と」 「……ほんとうるさい」 私は、空になったジョッキを颯太に押し付ける。 「……おかわり」 颯太は、返事の代わりに私の頭を撫でてからジョッキを受け取り、また部屋に戻っていく。 本当に、人は変わるものだ。 あれだけ、夜遅くまで働けばいいと思っていたのに。 あれだけ、仕事には、ストイックであるべき、と思っていたのに……。
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