第2幕

4/8
前へ
/11ページ
次へ
自分の言葉で、自分を傷つけた。 人肌が恋しくなり、私は颯太に抱きついた。 こうすると、颯太が頭を撫でてくれるのだ。 「何か、あったのか?」 と聞く颯太に答える替わりに、颯太のワイシャツのボタンを外す。 人肌が恋しい。 触れたい。 求められたい。 「ね、しようか?」 私は颯太のワイシャツを脱がして、上半身にしてやった。 でも、颯太は 「今日はもう寝ろ」 と、自分のスーツの上着を私にかけた。 さらに、颯太は冷蔵庫を開けて 「これ、預かっとくから」 と言って、ビールを自分のカバンの中に詰めていく。 「ちょっと!待ちなさいよ」 私が颯太に手を伸ばしたが、颯太はさっとシャツを着直して、出て行ってしまった。 私は、自分の肩にかかったスーツをぐしゃぐしゃになるくらいに掴み、ドアに向かって投げつけた。 「このへたれ!絶対別れてやる!」 そう叫んだ後は、一気に目の前がブラックアウトした。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加