第2幕

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台所に立って、お湯を沸かしていると、またチャイムが鳴る。 今度も「お届けもの」だった。 ただし、届けにきたのは……。 「よお」 ビールが入ったビニール袋を持った颯太が立っていた。 昨日の今日で、正直気まずいと思った。 「そうやって、団子って作るのか」 ボウルの中の団子の生地をこねている私を、颯太が興味津々に見ている。 私は作業に集中したかったので、あえて無視。 ソファにでも座ってりゃいいのに……と思いながら、醤油と砂糖とみりんで団子のタレを作り始める。 火加減が重要なので、じっと鍋を見つめながら木べらで混ぜる。 すると、颯太が、私の背後から覗き込んでくる。 「さっきから、うろちょろと何してるのよ」 私が聞くと 「いや……何でもない」 と、颯太が答える。 何でもないなら、どうして私の近くにいるんだろう……。 「暇だったら手伝って」 私は、1回火を止めて、生地が入ったボウルを颯太に渡す。 「え?」 「暇でしょ」 「だからって、ボウルだけ渡されてもやり方わかんないよ」 「あーもう、分かった、見て」 私は、手のひらに500円サイズの大きさにした生地を乗せて、くるくる丸めて皿におく。 「はい、これと同じことして」 「意外と簡単だな」 と言いながら、颯太も団子を丸め始める。 「あ、あれ?うまく形が作れない?」 「簡単だっていうから、バチが当たったのよ」 私はまたコンロに火をつけて、タレ作りを再開する。 颯太が作っている団子は、1個作るごとにゆがみがなくなり、どんどん綺麗な球体になっていく。 「なあ」 颯太が口を開く 「体調は?もう大丈夫なのか?」 「そんなこと気にするくらいなら、仕事真面目にすれば」 「電話、繋がらないんだから、来るしかないだろ」 「答えになってないし」 一瞬、お互い無言になる。 私だって、本当はこんなことを言いたいわけじゃない。 何もかもうまくいかないことに、イライラして、八つ当たりして、そのあげくに醜態晒して……。 私は気まずかった。 早く、鍋の中のタレを完成させて、この場から立ち去りたい。
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