第1幕

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第1幕

「ねえ、秋穂は覚えてる?」 ぼーっとしていたその時、いきなりこう話しかけらた。 かと思ったら、首筋にキンキンに冷えたビールジョッキが当てられた。 「何するの!!」 「大声出さないの、ご近所迷惑でしょう」 犯人は、稲田颯太しかありえない。ついこの間、結婚したばかりの夫だ。 せっかく、こうして仕事が終わった後の夕暮れ時のグラデーションを眺めながら、自宅マンションのベランダで、ぼーっと気持ちよく過ごしていたというのに……。
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