145『信長版西遊・羅刹女の岩山・3』

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145『信長版西遊・羅刹女の岩山・3』

鳴かぬなら 信長転生記 145『信長版西遊・羅刹女の岩山・3』信長   南無三、もはやこれまでか!  森蘭丸が「光秀、謀反にございます!」と本能寺の寝室の外で叫んだ時の気持ちになった。  俺は人を測るにも自分を測るにも冷静だ、蘭丸の注進への俺の応えは「是非に及ばず」だった。  仕方のないことにはジタバタしない、そういうコンセプトだ。  一瞬、転生した身でまた転生したらどうなるんだという疑問が湧いたが、それはその時。  ただ、猪八戒に変身している市は少し哀れだ。  腹の出っ張りが俺の倍以上ある。真っ先に壁の剣山が市の体を貫く。  が……是非も無し。 「是非も無し言うなぁ!」  語尾に「ブヒ」を付けるのも忘れて文句を言う。  ベキ!  せめてもの突っ張りにと挟んだ如意棒(レプリカだけどな)も折れてしまった! 「あ!?」  沙悟浄の茶姫が天井を指さす。  ウキキキキ!  なんと1/12のフィギュアみたいな孫悟空が一クラス分ほど天井の穴から続々と飛び込んできては、牛魔王と羅刹女に襲い掛かる! 「い、痛い痛い! なんなのじゃ、この小猿どもはぁ!?」 「イテテ、これは、そのサルのミニチュアだ!」 「悟空、これは、悟空の三大技の一つ、金毛分身の術だッパ」 「え、そんな術使った覚えは?」  あ!?  思い出した、この岩室に突撃する時、猪八戒に圧されて岩の縁に頭をぶつけ、髪の毛が抜けたんだ!  そいつらが、俺の危機を目の前にして自発的に変化して襲い掛かっているんだウキ! 「サルのように気が利くやつらだウキ!」 「サルサル言うなブヒ!」 「ようし、かくなる上は、もっと増援してやるウキ!」 「手伝ってやるッパ!」 「八戒もブヒ!」 「ウ、痛い痛い!」  二人がかりで体のあちこちの毛を毟る。  悲鳴をあげながらも、そいつらに術を掛け、瞬くうちに1/12悟空は数百匹に増えて二人の魔物を岩室の外へ叩きだした。  一匹一匹の1/12悟空はしれた力だが、数百匹も集まると結構な力になる。  あ、これって長篠の戦で、鉄砲三千丁集めて武田の騎馬軍団ぶちのめしたのに似ている。 「感心してないで、追撃ッパ!」 「「おお!」」  俺たちも岩室の外に出て、さんざんに牛魔王と羅刹女をぶちのめす。 「ちょっと、牛魔王、さっさと牛の姿になって、やっつけておしまいよ!」 「牛に戻ってるヒマが、イテテ、ないぞ!」 「いまのうちだッパ!」 「ウキ!」  1/12悟空の群がる中に飛び込んで、羅刹女の手から芭蕉扇を取り上げる。 「この、クソざる!」 「これでも喰らえウキキ!」  空中で二回転して勢いをつけると、大きく体を撓らせて芭蕉扇を振りかぶる。  ビュン! ビュンビュン!  キャーーー!  ンモーーー!  最初の一振りで羅刹女が飛んで行き、次の一振りで牛魔王が吹っ飛んでいった!  1/12悟空たちの大方は、二人の妖怪共々吹き飛ばされていったが、残ったものは元の毛に戻ってハラハラと地面に落ちて行った。 「よし、三蔵法師を救出するッパ!」  妖術鍋も主人が居なくなると、火が停まっていて、無事に三蔵法師を取り戻した。 「坊主ども、なんの功力があるか知らんが、自分の身は自分で守れ、ウキ!」  思わず怒鳴ったが、坊主どもはムニャムニャ手を合わせるだけで、それぞれ自分の目的地に行ってしまった。  俺たちは、敦煌を目指した。 ☆彡 主な登場人物 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名) 熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名) 平手 美姫       信長のクラス担任 武田 信玄       同級生 上杉 謙信       同級生 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名) 宮本 武蔵       孤高の剣聖 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま 雑賀 孫一       クラスメート 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康 リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名) 今川 義元       学院生徒会長 坂本 乙女       学園生徒会長 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟 天照大神        御山の御祭神  弟に素戔嗚  部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主
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