弄花掬水

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弄花掬水

雪に見送られ 君は遠く往く 夢の通い路も 吹き閉じけれども 花送る 遠き思い出も 優しさと温もりに 別れゆくまで ひらり花びらが燃ゆる夢 紅き灯にあなたの面影を見る さやけさが遠く あの日の秘めた心に 舞い戻る 喧騒の奥に 瞳の輝きを見つめて さぁさぁゆらりと舞い落ちる それは花か雪かはたまた そうそう白々燃え上がる それは炎か或いは心根か 月に照らされて 僕は夢現 巡り会いし雲の (ひま)も冷たくて 水面散る 近き終わりさえ 鮮やかな夢に 再び(まみ)ゆなら さらり水が指を縫う 深き青さの向こうには何も無く 囁きが遠く 明日の虚空に そっと夢を描く 背筋に残る あなたの指の温もりでさえ ろうろう想いを綴る詠 それは月も水も掬えど ふらふら旅するは夢の中 そこは指先の温もりがあるから 忘れていた 永い間に 忘れていた 小さな声 耳に残る あの唄を 記憶の奥 綴る声 さぁさぁゆらりと舞い落ちる それは花と雪の祝福 ろうろう想いを綴る詠 月も水も夢と消えゆく 滔々景色が流れゆく そこは過去も現在(いま)も分かたず 悠々辿る君への道 届かぬ手もいつか触れると信じて 二度と離しはしない
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