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夜明け
夜が、終わった。
すぐに、朝が来るんだと、そう思った。
だけど、朝はまだ来ない。
夜とも朝ともつかない時間だ。
暗くはない。だけど、明るくもない。
真上の空は黒く、どこまでも黒く、だけどずっと透明に澄んでいる。
遠くの空は冷たく澄んでいていて、だけどいつしか青く染まっている。
夜は、終わった。
だけど、朝が来るにはまだ時間がある。
まだ、焦らなくていいんじゃないかな。
ゆっくり深呼吸をしよう。
そう思って、冷たい空を思いっきり吸い込んだ。
澄んだ黒が、透明な青が、私の肺の中に染み込んでいった。
まだまだこれからだ。
もう一度空を見上げると、空は東雲に表情を移していた。
夜明けが、来たんだ。
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