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脇役
今までなんの疑いもなく見ていたアニメが、漫画が、嫌いになった。
どこにでもある英雄譚。
或いは主人公が活躍する熱血ストーリー。
そんなものが、嫌いになった。
主人公が笑う時、負けた誰かは泣いている。
そんなことは当たり前で、誰だって知っている。
だけどそれは、どこかの誰かのこと。
そう、思っていた。
でも違った。
泣いているのは、私だった。
考えてみれば、当然のことだ。
主人公なんて、この世にひと握りしかいないのだから。
努力は報われる、なんて言葉は、そのひと握りの人達のためにある言葉で、私のための言葉ではないのだ。
主人公が"奇跡"を起こすとき、その裏には"当然"を奪われた脇役がいる。
努力が報われなかった、幾人もの脇役がいる。
主人公は、きっと努力して、努力して、或いは才能と運を味方につけて、勝つのだろう。
でもそれは、私たちだって同じだ。
負けるつもりであの舞台に立つやつなんていない。
努力せずに泣くやつなんていない。
主人公のために生きてる脇役なんて、いないんだ。
私はきっと、主人公では無かったのだろう。
でも、だからと言って、私の人生をどこかの主人公にくれてやるつもりは無い。
主人公が活躍する物語なんてまっぴらごめんだ。
誰かのための物語じゃない、「私」の物語を、生き抜いてやる。
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