いき たえる

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いき たえる

人にはそれぞれ生き方がある。 成すべきことを成し、或いは成らぬことを成そうとし、汚泥を啜るのは人としてあるべき生き方なのであろう。 だが、ある時は理不尽に耐え、またある時は世の中の流れに翻弄されながら、それでもなお生き続けることは、果たして本当に正しいことであろうか。 正しさとは何なのか、私にはまだわからない。 いや、死の淵に付いてなお、終ぞわからないままだ。 私を死の淵に追いやったものは何か、私はよく知っている。 人の心が、理不尽に耐え続ける苦しみが、私を死に追いやったのだ。 私を笑うか。愚かだと、弱いと私を笑うか。 ならば笑えばいい。 人の心を捨てた者たちにいくら愚かと罵られようと、もはや私は怖くはない。 耐えなければ花は咲かないと誰かが言った。 苦しみを耐えた先に美しい花が咲くのだと。 しかし私は問いたい。 その花の美しさは本物か。 苦しみに耐え続け、曇った心と目が見せる幻想ではないか。 或いは、本当に花など咲くのか。 苦しみを耐え続けることに先などない。1度雪が根付けばその上に降り積もり続けるように、苦しみもまた降り積もり続けるのではないか。 もし、そうなのであれば、この世に救いなどないのなら、私は、私は……
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