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Nightmare
蒸し暑い夜 邪魔する虫の声
眠れない意識のまま そっと1人暗がりに抜け出す
辿り着く場所に意味など無い
ただ立つ場所の灯りが違うだけ
慰めの声も 缶の中の液体も
規定量を超えた錠剤でさえも
私に夜を与えてくれぬのなら
黄色い境界 踏み越えて
衝動に乗せた体で走る
踏み出した先に 踏むべき地面などなくて
眩しい光と闇夜に溶けた
喧騒の朝 響く冷たい声
空になった机を見遣り 1人意識を夜に飛ばす
青白い光に導かれ
目にしたものは紅の花
響く金属音と舞い散る火花
自分の存在に気づくものはなく
たった1人「美しい」と呟いた
警告色のその先に
咲く花を摘み取ることはできず
ただ遠巻きに眺めては
黒く枯れてゆく花を想った
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