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「姉さんが死んでからあいつを捕まえたって、何にもならないんだ。姉さんは帰ってこないんだよっ! だったら、せめて殺させろよ。なんで止めるんだよっ!」
ついに少年は泣き叫んだ。
くってかかってきそうな程の激情を迸らせる彼を、城崎が抑えようとする。それを、重松は手を上げて止めた。そして……。
「すまなかった。本当に、申し訳ない」
深々と頭を下げる重松。
えっ……?!
城崎も、そして少年も、驚愕して目を見開いた。
「君の言うとおりだ。我々警察がもっとしっかりやっていれば、救うことができた人はたくさんいるだろう。すまなかった」
「重松さん……」
城崎は何か言おうとするが、言葉が見つからないようだ。簡単に警察の非を認めるような発言を咎めたかったのかもしれない。いずれにしろ、重松が目を見て頷くと、そのまま押し黙った。
「君の悔しさや警察に対する怒りも、そして、お姉さんの悲しみも辛さも、ここにしっかりと刻み込ませてもらった」
刺された右腕を示す重松。少年の視線が、その傷に向けられる。瞳が震えているのは、まだ怒りが強いのか、それとも悲しみか?
「だから、ここまでにしておいてくれないか?」
「え……?」と少年の掠れたような疑問の声。
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