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第一章『計画勃発』
「もうすぐ卒業か・・・三年間もあっという間だったなぁ」
ナオは長いようで短かった中学三年間を振り返・・・る間もなく、トモに話し掛けられる。
「最後の思い出に何かやらないの?」
「ん?お前、最後くらい真面目に・・・いたずらやるに決まってるっしょ」
ナオがトモに向かってニヤリ。
「やっぱりね。ナオのことだから何か企んでると思った。ねぇ?」
トモが後ろを歩くリナとタカの方を振り向いた。
「えぇ。むしろやってもらわないと困るわよ」
リナはナオが「やらない」と言おうものなら、力付くでもやらせるつもりだったようだ。
本人曰く、こういう時のために空手をやっているようだし・・・恐っ!!
「インパクト強いのやりたいわね」
「来月からは高校生なんだから、ほどほどにしといた方がいいんじゃないかな」
ヤル気満々のリナを隣のタカがたしなめる。
「え~、中学最後なんだからいいじゃない」
リナが口を尖らせると
「まぁまぁ。そうは言っても、結局はタカは私達の味方なんだから協力してくれるわよ」
トモがリナをなだめつつ、タカに「だよね?」という視線を送った。
それに対してタカは微かな苦笑い。
これはタカ特有の了解サインである。
付き合いの長いトモ達にだけは分かるものであった。
「で、いつするの?」
機嫌をなおしたリナがナオに聞く。
「ん~、やっぱり最後のイベントだろ」
「卒業式ね」
「あぁ。『卒業式=涙』じゃなくて、『卒業式=笑い』にしようぜ」
ナオが立ち止まって三人に向かって提案すると、
「いいわね。みんなとの別れは悲しいけど、やっぱり最後も笑って別れたいしね」
トモが賛成し、リナとタカも頷いた。
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