第一章『計画勃発』

1/2
前へ
/16ページ
次へ

第一章『計画勃発』

「もうすぐ卒業か・・・三年間もあっという間だったなぁ」 ナオは長いようで短かった中学三年間を振り返・・・る間もなく、トモに話し掛けられる。 「最後の思い出に何かやらないの?」 「ん?お前、最後くらい真面目に・・・いたずらやるに決まってるっしょ」 ナオがトモに向かってニヤリ。 「やっぱりね。ナオのことだから何か企んでると思った。ねぇ?」 トモが後ろを歩くリナとタカの方を振り向いた。 「えぇ。むしろやってもらわないと困るわよ」 リナはナオが「やらない」と言おうものなら、力付くでもやらせるつもりだったようだ。 本人曰く、こういう時のために空手をやっているようだし・・・恐っ!! 「インパクト強いのやりたいわね」 「来月からは高校生なんだから、ほどほどにしといた方がいいんじゃないかな」 ヤル気満々のリナを隣のタカがたしなめる。 「え~、中学最後なんだからいいじゃない」 リナが口を尖らせると 「まぁまぁ。そうは言っても、結局はタカは私達の味方なんだから協力してくれるわよ」 トモがリナをなだめつつ、タカに「だよね?」という視線を送った。 それに対してタカは微かな苦笑い。 これはタカ特有の了解サインである。 付き合いの長いトモ達にだけは分かるものであった。 「で、いつするの?」 機嫌をなおしたリナがナオに聞く。 「ん~、やっぱり最後のイベントだろ」 「卒業式ね」 「あぁ。『卒業式=涙』じゃなくて、『卒業式=笑い』にしようぜ」 ナオが立ち止まって三人に向かって提案すると、 「いいわね。みんなとの別れは悲しいけど、やっぱり最後も笑って別れたいしね」 トモが賛成し、リナとタカも頷いた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加