印刷麺レストラン

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「よし、着いたぞ」  電車とバスを乗り継ぎ、ようやくたどり着いた「印刷麺レストラン」は、民家が立ち並ぶ通りの角にあった。太い道路を挟んだ向かいは畑である。ガラス張りで、コンビニの居抜きのようだった。開店前にもかかわらず、すでに十人ほどが並んでいる。 「いろいろと意外だな」  最後尾につきながら、拓真が呟く。 「そうだろう」  豪はなぜか得意げだ。 「俺も、ツイッターで写真を見てなければ辿り着けなかったと思う」  スマートフォンを行列に向ける豪。閑静な住宅街にシャッター音が響く。 「ツイートしようっと。ええと『念願の印刷麺レストランに来ているなう』」  豪は、わざと声を出しながら文字を入力していく。「なうは古いよ」とつっこんで欲しいのだろうが、拓真はその手には乗るまいと思った。  ポケットをまさぐり、スマートフォンを取り出す。  午前10時半。開店まであと30分。
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