印刷麺レストラン

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 開店から1時間後、拓真たちの番になった。左側にある自動ドアを抜け、中に入る。 「いらっしゃいませー」  店内をぐるりと見回す。入口左手には券売機があり、その隣にはなぜかコピー機があった。コンビニ時代にはレジ台があったであろう左側の壁際には長テーブルがあり、拓真たちよりも先に入った人が、なぜかはさみで紙を切っている。  向こう正面は冷蔵コーナーで、ペットボトルや瓶の飲み物が置いてある。すぐ横の天井角から「cashier(キャッシャー)」と書かれた看板が下がっており、その下にレジが一つだけあった。あそこで飲み物の会計ができるのかもしれない。  右側の空間にはテーブル席とカウンター席があり、ラーメンをすすっている人たちがいる。入口側の角にはトイレが、奥側の角には従業員用の扉があるようだった。 ――あれ? 厨房は? 「お客様、当店のご利用は初めてでしょうか?」  紺のTシャツを身につけた若い女の子がにこやかに話しかけてくる。多分大学生のアルバイトだろう。 「は、はい」  どもりながら豪が返事をする。これだから工学部男子は、と拓真は憐憫をこめて豪を見た。せっかく大学生になれたのに、「女子大生」の免疫がないとは、かわいそうに。 「かしこまりました。では当店について簡単に説明させていただきますね」 「わかりました。よろしくお願いします」  拓真がよどみなく答えられるのは、法学部男子だからだ。周りには「女子大生」がたくさんいる。つまり、女子大生に慣れている。工学部も法学部も発音は似ているが、KとHの差はでかいのだ。
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