おぎゃ、あぎゃ

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蚕の瀕死の際に吐き出された深い業の赤い布地を汚そう 深紅に染められた絹のシーツを つまりはあの人にはなにも関係ない只の布なのだから あの人に罪は無い 魚と肉、どちらが好きなの どちらにしたって命なんだけどな そんなことで肉食系、だなんて誇らないで ベジタリアンだって命をつまんでいる 結局は命じゃないものなんてない 思うんだ、もしも神様がいて 短く素早い生とか 自由が利くけど悩む生とか ゆったりと世界に溶けこむ生とかあるんだけども あんたならなにがいいのサ とか生まれる前に聞かれちゃったりしていて 選択したのはこの自分で そうやって生まれたのは自分で 虫とか木々とか水とか地球に生まれたのは誰かで リセットは利かなくて それぞれやっぱ命 宇宙にもおぎゃーと生まれた瞬間があるってどういうこと? そんな考えはあの人には関係ない つまりはあの人にはなにも関係ないのだから あの人に罪は無い あの人には関係ない こんなにつまらないことは 【おぎゃ、あぎゃ】 子供は可愛い。自分に懐くならもっと可愛い。それが自分の子供なら食べちゃいたい。 でも大きな子供は可愛くない。俺が可愛いなあと嘘ではなく心底思えるのは精々二歳位だし、お袋もそう言っていた。 後は大概ぶっ飛ばしてやりてえと思うから、子供は絶対他人の子供に限る。 ちょいと触って後は持ち主にリリース。自分の子供なら食べちゃいたい、なんて言ったが自分の子どもを持つ気なんかないね。俺はいつでも無責任に言葉を放つが、そこは無責任だから責任は絶対持たない主義だ。ああ、俺は大層お気楽だ。 そうそう俺が誰に言っているかって? さあね、あんたか…それともあんたか、(そう言って地下にある風変わりなバーのマスターは空笑いをしながら暗がりで話を聞いている人物を適当に指さした) 結局、誰にも関係の無い話さ、ハハハ。 さて、どうもお集まりいただいてありがとうさん、暇人共。お前らきっと恋人がいないんだ。そうじゃなくちゃこんなバーなんかに来っこねえのさ。 俺もそうだった。恋人がいねえから酒を作って暇を潰していたんだ。金?金ならねえさ。でも…出来ちまった。そうさ、だからこんな商売もう沢山だ。 そうさ。今日はお別れパーティーなんだろ?だから普段はがらんとしている此処が満員御礼な訳だろ?ありがとよ。 俺は閉店の日を書いただけなのに、お前ら暇人は優しいな。お誘いあわせてくれてありがとさん。いいや、違うな。お前ら本当は楽しいんだ、俺が感動して泣くのを待っているバカヤロウだ。 生憎と俺の涙腺は百万円でネットのオークションで売っちゃったからな。今頃悪魔に感情を売った金持ちが俺の涙腺で思う存分泣いているだろうよ。嘘?さあね。自分で確認できねえことが嘘というのなら、全てが嘘さ。ハハハ。 さて、どうするかな。何人かに理由を聞かれた。
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