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凍えるほどに冷房の効いた電車から、ホームタウンのさびれた駅のホームに降り立つ。
じんわりと、指先の毛細血管から血が巡り始めるのがわかる。軽く痺れるような、解放されたような。
そうして、徐々に血管が開き始めてからやっとわかる。
ああ、自分の体温も下がり切っていたのだ、と。そんな時は、普段鬱陶しい、湿気を帯びたこの空気さえ愛しく思える。このお陰で、自分が生きていたことに気付く事ができるのだから。
忘れていたことさえ、こうして愛おしい。
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