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登場人物紹介
◆【追放者】たち
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【アベル】
──「どうして殺し合わなきゃいけないんだ! 皆で一緒に悪に立ち向かえば、こんな事にはならなかったのに……!」
アベルは、強い正義感が取り柄であり、逆に言えばそれ以外の取り柄が無い、憲兵団の若き兵士である。
ついにその正義感が仇となり、彼は誇りと友を永久に失う事になった。
アベルの父と母が最期に遺した『正義』は、果たして何を救うのだろうか?
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【ローヤ】
──「私は喜んで命を差し出すわ。そうすれば、アベルも助かるんでしょ?」
ローヤは、世界一の大国に住む王の娘としては愚鈍だが、民を想う優しさは誰にも負けない女性である。
自分の命を生贄に世界が平和になると言われたら、迷わず命を捨てる強い意志を持っている。
……だからこそ彼女は、この【ゲーム】へと組み込まれた。
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【メイ】
──「よく覚えてくださいね、アベル。優位に立った悪党の無駄話は長い傾向にあります」
メイは、憲兵団で新人の訓練を担っている優秀な兵士である。
訓練と称してアベルを殴り倒して泣かせることが趣味の一つであるが、それ以外は良き先輩である。
迷える子羊であるアベルが何処へ向かうのかは、彼女の導きに掛かっているだろう。
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【ゴードン】
──「甘ったれた坊ちゃんに、俺が現実って奴を教えてやるよ。ここで、ぶっ殺してやる」
ゴードンは、アベルが【追放者】となる直接の原因を作った、『清廉で模範的な』憲兵団の上官である。
権力をチラつかせて部下たちを不正に加担させていたが、正義馬鹿であるアベルを屈服させる事は不可能だった。
築き上げたキャリアを一夜にして失った彼は、刺し違えてでもアベルを地獄に引きずり落とす執念に燃えている。
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【ウィード】
──「贅沢三昧の王族どもはいけ好かねえと思ってたんだよ。まったく最高だぜ、この【ゲーム】は!」
ウィードは、元々はお調子者のムードメーカーであったが、今では醜いプライドを膨らませてゴードンの腰巾着となった兵士である。
憲兵団という肩書で人々がひれ伏すことに快感を覚え、その威光を強めるべく常にゴードンに節操なく付き従っていた。
だが、アベルの告発によりキャリアを失った今の彼は、ただの肥え太った野獣でしかない。
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【キャロル】
──「どいつもこいつも、私を見下しやがって……! 私はいつも、苦しい思いで必死に生きてるのに……誰も理解しない……!」
キャロルは、元々はアベルと同じく正義馬鹿だった過去を持ちながら、ゴードンと共謀しその手を汚した兵士である。
聡明だった彼女は、正義感だけでは憲兵団の中で生き抜いていく事は出来ないと気付き、家庭を守る為に『清廉で模範的な』兵士に変貌した。
かつてアベルを片想いしていた時期もあったようだが、今となっては遠い過去の話である。
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