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母が亡くなって数ヶ月経った。
盛大な葬儀が行われて以降、たくさんの人達の出入りが無くなり、広い屋敷内は静寂に包まれている。
いつも仕事で家に居なかった父が、部屋に籠る日が増えていた。
「お姉ちゃん」
自室でぼんやりしていた私に、ヨウ汰が声をかける。
「ヨウ汰。どうしたの?」
「・・・いや、何でもない」
そう言ってヨウ汰は扉を閉めた。
私は違和感を覚えたが、追いかけなかった。
ふと思い出すのは、母との病室での会話。
「なんで・・・」
胸焼けのような感覚になり、堪らず部屋を出る。廊下を進んで行くと、角から父が現れた。
声をかけようとしてやめた。
数日振りに見た父は、ボサボサの頭に無精髭。いつから着ているのかわからないよれよれの着流し姿で、ふらふら歩いていた。あんな父の姿を見たことがなかった。
逃げるように洗面所に入り、水で顔を洗う。
それでも、気持ちは晴れないまま。
だから、父の部屋へ向かった。頭に残った母の言葉を伝えるべきかと考えながら。
ノックするが返事が無いので扉を開くと、父が首を吊って揺れていた。
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