カナリヤを白日の空に曝せ

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 幼い頃、母に聞いた事がある。  「おかあさんは、どうしておとうさんとけっこんしたの?」  母は少し間を空けて答えた。  「そういう運命だったのよ」  「お母さん、来たよ」  無言の墓石に声をかける。  晩夏の昼下がり。鮮やかな青空と怪物みたいな雲が、世界を覆う。蟬の鳴き声は、茹だるような空気に混ざって響く。  「ほらヨウ汰、お母さんに挨拶してあげて」  「・・・」  「ほらお父さんも」  「ナツ子はどこだ?」  私は苦笑いを浮かべながら、花を活ける。  「お母さんがいなくなって1年。まだ1年だけど、色々あったよ」  そう呟きながら、線香に火を点ける。
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