1.この町はオレが守る!

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1.この町はオレが守る!

 オレ達は街の保育園の隣にある小学校のグランドの隅の大きなクスノキの影で、保育園の出入り口を凝視していた。オレの他に看護師のレイと、あと猫のクロ達が一緒だ。午後3時を過ぎたところだが、気温はまだ35度を超えたままだろう。汗がひっきりなしに落ちてくる。  ちょっと前の話になる。  散歩に出ていたクロから、 「大変だ!大事件だ!」 という連絡が頭に飛び込んできた。クロとシロは未来から来た猫達で、クロはオレと脳内で話ができるし、シロは人と話はできないものの、人を見ると、その人の考えが読めるという特殊な能力を持っていた。敵にまわすと痛い目を見ることは間違いない。  最初のクロからの連絡をもらった時、オレは駐在所でクーラーで涼みながらゲームをしていたが、クロが「誘拐事件になるかも!」 などと言うから、オレはすぐに私服に着替えて事務所に出て待っていた。  そこに偶然レイが通りかかってオレを見つけて入ってきた。 「こんにちは」 「やあレイ、今日も暑いな。これからちょっと出ないといけなくなったんだよ。悪いな」 とおれは忙しいぞってことを、ちょっとだけアピールしたのが失敗だった。レイは以前からトラブルに首を突っ込むのが好きで、こういうとこは見逃さない女だ。「アラ、私も協力しますよ。何をしたらいいの?」 案の定だった。オレもまだまだ甘いな……と思っていた時にクロ達が飛んで戻ってきたのだった。  「早く行かないと!」とクロはオレの脳内でわめいている。レイには聞こえてないはずなのだが、妙にカンのいいところがあって、「クロちゃん、事件なのね?私も行っていいでしょう?」 なんでオレに聞かずにクロに聞くんだ?……てか、もう事件だというのがバレていた。しかし今は時間が惜しい。とにかく出よう!本署には、「畑を荒らされる事件が多発しているので、張り込み捜査に出る」 と事件をデッチ上げて出た。急ごう。  今回シロが見たのは、街のスーパーマーケットの駐車場で、車に乗ろうとしていた初老の男の考えをちょっと覗いたら、(保育園に行って、子供を誘拐して金にでもしないと、もう俺はだめだ……)と見えたらしかった。  今頃そいつは保育園に車で向かっていると思われた。パトは使えないから、自分の車で飛ばす。クロが車の特徴とかナンバーを覚えていたので、教えてくれた。黒とグレーのツートンで、ナンバーは5963ということだった。「モノクロームのゴクローサンかよ」 と内心ウケた。  保育園までの間、オレはレイに大まかなことを話した。そして、ちょうどいいカモフラージュになると思い、レイにある作戦をお願いしようと考えていた。 車を保育園に乗りつけたらバレるから、手前の小学校の駐車場に車を置くことにする。
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