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プロローグ
「あの……僕のこと、覚えてますか?」
交差点で信号待ちをしている時だった。
突然後ろから話しかけられ、振り向くと高校生くらいの私服の少年が立っていた。
身長は俺より少し高いくらいで、髪の毛が直毛でサラサラしている。肌は白い方で、目は大きかった。いわゆる美少年という、俺とは縁のないタイプだろうなということが一目で分かった。
彼の一番の特徴は左目の目尻の下にある大きな泣きぼくろだろう。自然とそこに目が行き、これさえなかったら完璧なのになと思う存在感があった。
泣きぼくろのあるやつ、初めて見た。
前にも会った事があるならきっと覚えている。
「すみません、人違いだと思うんですけど……」
完璧に年下だと思われる相手にもつい敬語を使う自分に、俺は少し嫌気がさした。
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