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王子が再来する。
王子というあだ名の男、田口雅人の第一印象は「胡散臭い」だった。
事の運びで彼を私に紹介する事になった親友は、その形容詞が的確だと大笑いしていたけれど、普通の女子の大半が「かっこいい」「イケメン」「好青年」という第一印象を抱くだろう男だ。
それ故に、王子。
その王子が何故か私の職場にやってきた。
窓口でびっくりする私に「よぅ、繭ちゃん」と手を軽く振っている。
私の隣に立っている先輩の目が釘付けになっているのが、横目でわかる。
私じゃなくて、その先輩や私の背後にいる他の女性、全員にむけて、私の顔ににっこりしている。
そういう男だ。
女性陣のかすかなざわめきを背後に感じる。
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