394人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
第十二章 Fly me to the moon
「う……」
「起きたか。遥」
遥は、ゆっくりと目を開けた。
ベッドに横になり、掛布を被っている。
パジャマも着ており、何ら不審な点はない。
ただ、隣に了が寝ている。
優しいまなざしで、こちらを見てくれている。
「僕。僕……!」
思い出した。
お薬飲まずに発情して、そして。
『抱いてください、了さん。お願い』
『ああ……、早く……』
『ぼ、僕ッ。お客様に抱かれるたびに、了さんのことを想ってました……!』
僕ったら、何て恥ずかしいことを!
慌てて再び瞼を閉じた遥に、了はくすりと笑った。
「その様子だと、忘れてないな?」
「ごめんなさい! 僕、失礼なこと、いっぱい言いました!」
「失礼なもんか。嬉しかったよ」
それから、と了は掛布を頭まで被ってしまった遥の髪を、くしゃりとなぶった。
「私の言ったことは、覚えていてくれてるか?」
「……はい」
最初のコメントを投稿しよう!