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あとから来た中年の男性が拾った。その男は片側一車線の道路を斜め横断して、駅の方向へ戻っている。
それを見て松岡さんは、「交番へ届けに行った」と断定した。
確かに何の迷いもなく、今来た道を戻っている。通勤途中だから逆である。自分の物にしようとしたら、ポケットに入れて会社へ行くだろう。
入谷改札を出て左方向に鉄道警察隊がある。あそこに届けてくれたかもしれない。仕事が終わったら、できるだけ早く立ち寄ってみよう。
松岡さんは午後一時に帰った。竹部さんが交替で勤務についた。彼は矢萩より三十歳も若い。大男で制服がよく似合っている。立哨しているとさまになっている。
竹部さんは午後一時から夜十時ぐらいまで勤務する。
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