小銭入れ

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 矢萩は、上野駅を出た。外は秋の空気になっている。まだ、午前六時三十分で人も車も少ない。信号が青になり、横断歩道を渡り、いつものコンビニに入った。 毎日、お弁当やパン、お菓子を買う。  東南アジア系の店員に会計してもらった。現金で支払い、おつりの小銭を小銭入れにしまった。濃茶色の小銭入れ。安物だけど使いやすく気に入っている。  矢萩はコンビニを出て、仕事先の高校に向かう。この高校で警備員として働いている。ショルダーバッグに小銭入れを入れて歩き出した。  カードをタッチして電気錠のドアを解錠し中に入り、右に向かう。一分もかからず鉄筋コンクリート造りの守衛室に到着する。 重いドアを開けて中に入る。    
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