3 なにを言おうとしたの?

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 金切り声をあげていたお母様は、僕を見つけたとたん、ほっとしたように笑顔になり、猫なで声で手招いた。 「ああ、こんなところにいたのね。さあ、この母のもとにおいで。一緒にお茶にしましょう。愛しているわ、ミア」  お母様の、この壮大なごっこ遊び。  ここから逃げ出す術は、まったくない。  ……かのように思われた。  この時すでに、運命のカウントダウンは始まっていたのかもしれない。僕の運命を決定づける「あの人」との出会いが、すぐそこに迫っていたのだから。
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