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4 宝物と、秘密の時間
「お休みなさいませ、お母様」
夕食を終え、お母様におやすみのキスをして、僕は自分の部屋に戻った。かんぬきをかけ、一人になってから、はあっとため息をついた。
僕の部屋は、お母様の趣味に侵食されている。
木馬にぬいぐるみ。
金髪碧眼のお人形。
立派なドールハウス。
そして、花の刺繍があしらわれた、カーテンつきの四柱式ベッド。
かわいいものに囲まれたこの部屋は、僕にとっては居心地の悪い空間だ。壁にかけられたお母様の肖像画が、「おまえは一生、偽物の令嬢として生きていかねばならないのですよ」と無言の圧力をかけてくる。
(お母様も乳母も、もう僕は寝たと思ってる。この部屋には来ないはず)
ここから僕の、秘密の時間が始まる。
僕はベッドの下から、「宝物」を引っぱり出した。
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