4 宝物と、秘密の時間

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 扉をくぐるとオークの森。森を抜けると草原、小麦畑が続く。ま新しいろうそくが燃え尽きるくらいの時間をあけて、ようやくたどり着くことができた。  海沿いの町。  アランドル地方で最もにぎやかなところに。 「へい、らっしゃい!」  教会を中心に、たくさんのお店が軒をつらねている。魚屋、肉屋、パン屋、鍛冶屋、薪屋……。いたるところに火がたかれ、人々の喧騒が聞こえる。町はまだまだ眠る気配を見せない。  海沿いには船が並んでいる。漁から帰ってきた男たちが、酒場に集まり、酒盛りに興じているのだ。 「へへっ、あっしの勝ちだな」 「なにおう、次は銅貨三枚賭けてやる!」  ぐびぐびビールを飲みながら、酒樽の上でサイコロ賭博に興じるおじさんたち。男臭くて荒っぽいこの雰囲気が、僕は大好きだ。お母様がご覧になったら、きっと眉をひそめるのだろうけど。
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