5 うさぎ狩り

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5 うさぎ狩り

「やめてください!」  酒場のお姉さんが、タチの悪そうな男たちに絡まれていた。体格の大きなごろつきたち……しかも三人……に絡まれて、困りきっている。 「いいじゃねえか姉ちゃん、ちょっと付き合えよ」  男たちはみんな赤ら顔で、お酒の匂いがぷんぷんしていた。逃げられないようにとり囲み、お尻をさわり、げらげらと下品に笑っている。  こんなの、ほおっておけない。 「やめろよ、嫌がってるだろ!」  割り込んで両手を広げ、女性を背中でかばうと。  男たちは僕をぎろりと睨んだ。 「なんだこのガキ。邪魔するんじゃねえ!」  男の一人が、いきなり僕に殴りかかってきた。どうにか避けるも、彼のこぶしが帽子のふちにあたり、帽子が脱げてしまった。かくしていた長い髪の毛が、ふぁさっと落ちてくる。
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