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(しまった!)
さらさらの長い髪があらわになる。あわてて帽子をひろったが、時すでに遅し。男たちはさっきとうってかわって、好色な笑みをうかべていた。
「なんだ、生意気なボウズかと思ったら、よく見りゃイイ女じゃねえか。そこの姉ちゃんのかわりに、あんたが相手してくれんのかい?」
しまったと思ったけれど、結果的にあのお姉さんを救えるなら、悪くない展開だ。僕は帽子をかぶりなおしてから、にっこりと笑った。
「いいよ、相手してあげる。ただし、僕を捕まえられたらね!」
そう言うと、僕は走り出した。お姉さんへの関心がそれるよう、ときどきふり向いて挑発的にウィンクした。
ほら、僕はおいしそうな獲物だよ。
狩れるものなら狩ってみなよ!
月明かりの下。
ごろつきたちとの「うさぎ狩り」が始まった。
僕はうさぎ役。
逃げきれたら、僕の勝ちだ!
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