6 急いでいるなら、道より屋根を歩け

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6 急いでいるなら、道より屋根を歩け

 そこにいたのは若い青年。深紅のベスト、緑色のズボン、こげ茶色のロングコート。とても個性的な格好をしている。  背が高く、肩が広く、それでいてしなやかに見える。きりっとした端正な顔に、にこにこと人懐っこい笑みをうかべている。  なにより目を引いたのは、髪。  うねりのある短髪、その色は。  ……鮮やかなオレンジ色。   「誰だ、てめえは!」  邪魔をされて頭に血がのぼったごろつきの一人が、オレンジ髪の青年に殴りかかった。あぶない! そう叫ぶ間もなく、その青年は殴られた。  ……と思いきや、殴ったはずのごろつきが地面に倒れ、動かなくなっていた。
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