6 急いでいるなら、道より屋根を歩け

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「えっ⁉」  目を疑った。あの人はただ立ってるだけで、攻撃する様子なんてまるでなかったのに。どうやって倒したのか、まるで見当がつかない。 「あっぶないなあ、いきなり殴るなんて。  びっくりするじゃないか」  のほほんとした調子でそう言うと、青年はゆっくりと僕に近づいてきた。 「やあ少年、だいじょうぶかい?」 「あ、ありがとう、ございます。  あの、あなたは……?」  名前を聞く暇もなく。  ごろつきの仲間たちが騒ぎ出した。 「な、なんだてめえは!  邪魔すんだったら容赦はしねえぞ!」
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