朝食はパンよりごはん!

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 朝食がパンのまま2週間が経った。最初はずっとブルーベリージャムを使っていたけど、マーマレードも美味しいことを最近知った。小麦とバターの焼けた香りとともに、オレンジの甘酸っぱさが口に広がる。でもやっぱり、米がいい。  そもそも僕は毎日8時に起きるから、朝早くに出勤する茂之さんとはタイミングが合わない。だから次の作戦は美咲さんをターゲットに決めた。  前回は考えを改めてもらうことを狙ったが、考えるよりも体験する方が早い。それに美咲さんは病気がちだから働いていないと聞いたから、朝からしっかり作るのは大変なのかもしれない。だからご飯の朝食を僕が作ってみせてあげよう。  とは言っても僕がいきなりやると言い出したら止められるかもしれない。だからサプライズだ。  時間は2時。深夜の方の2時だ。電気を消して寝たふりをしながら、今回の作戦を繰り返し考えて寝るのを堪えていた。  そうっと起き出し、キッチンに向かう。音がしなくなって1時間は経ったから、茂之さんも美咲さんも熟睡中のはずだ。  明日はサプライズでご飯の朝食を作るのだ。そのためには米をタイマーでセットしておきたい。  水が流れる音を最小限にしながら米を研ぐ。冷たい水を手の甲に当てると気持ちいい。水が落ち着くのを待ってから少しずつ水を足す。完璧だ。一粒も無駄にせず、水も絶妙にできた。  黒くて最新型だろう炊飯器は試すように見てくるが、僕の意思は揺るがない。炊飯器に移し、タイマーをセットする。炊くコースはきっとそのままでいいのだろう。他も見てみたくタッチパネルを押したくなるが、余計な音は立たないことが賢明だ。  米をセットし、タイマーを6時にセットした。これで完璧。あとは4時間後にもう一度起きるだけ……。    
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