2人が本棚に入れています
本棚に追加
「北原さん、やめなさいね」
「うるせー、ばばあ。止めるなよ」
「まあ……、ば、ばばあ……」
思いもよらない暴言にうろたえる先生に、キッと鋭い視線をお見舞いする真彩。それを、サッと隠すように竜浩が立ち上がった。
「先生!ボクたちちょっとふざけてただけなんです。……すみませんでした」
うるうる、と目に涙を浮かべる竜浩。おまけに、ペコペコと頭を下げる。
その姿に先生は「まあ、そういうことなら…次からは気を付けてね」とだけ言って、黒板の前にある教卓へ向かった。
「それでは、各自スケッチブックと筆記用具を持って、昇降口へ行ってください」
みんなに向かって声を張り上げた先生は、手をパンパンと叩くと、みんなに準備を促した。
「“自然クラブ”は今から近くの公園へスケッチに行きます」
先生のその言葉を合図に、スケッチブックと筆記用具を持った生徒たちは昇降口へと向かった。
「木田さん、先ほどはありがとうございました」
ザワザワする移動中。まなとが小声で竜浩にお礼を言う。
ニッコリと「いや、大したことはしてないよ」と答える竜浩は(あのまま北原が先生に怒られてても良かったんだけどね)と心の中で呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!