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一方、周では…
「予定では、3日後に誕生日会を行う。それまでに、整えておかないと…」
周を率いる朔修が、兵士に指示を出していた。
頭を抱えている朔修のもとに、一人の青年が駆け寄る。
「父上!!尚子の誕生日会の宴を開くとは一体どういうおつもりで?」
「おお、尚陽か。遠征はどうだったか?」
「そんなことより!!」
尚陽と呼ばれた青年が朔修の机を大きく叩く。
「劉秀を招き尚子の誕生日会など、周を貶めるような行為、危険すぎます!!」
「尚陽よ、落ち着け、これは策なのだ。」
「…策?」
朔修は周りの兵士を払い、真剣な顔で尚陽に語りかける。
「これは策なのだ。尚子の誕生日会と称し、我が領地に劉秀を招く。そこで、尚子との婚約を申し付ける。」
「こっ、婚約!?」
「まぁ、最後まで聞け。」
取り乱した尚陽を落ち着かせ、話を続ける。
「酒を飲ませ、尚子と2人にしたところで、殺す。」
「しかし、劉秀には雲州がついているとか。」
「さすがに夫婦となる男女を邪魔する訳にはいかんだろう。」
「ですが…」
尚陽が言葉を濁らせ、周りを確認する。
尚陽の心配事を見透かしたように笑い飛ばす。
「大丈夫、尚子には顔を隠させる。決して秘密は守りとおそうぞ。」
尚陽は不安げに顔をしかめる。
奥にある部屋で、外を眺める一人の姿があった。
文字が書いてある布を指でなぞり呟く。
「劉秀…。」
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