最終話、ここにいるということ

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 「梨吹ちゃんの首にかけてあるネックレス、借りてもいいかな?」  「あ、うん、いいよ」  梨吹は首からウィッシングボトルのネックレスを(はず)し、玲月に渡そうとしたが、先に涙があふれてしまう。  「梨吹ちゃん……」  「まにさん、ネックレスは大深さんに持たせたままがいいみたい」  「そっか、そうだよね。ごめんね、梨吹ちゃん」  「ううん、私こそ泣いちゃって。これ、貸すよ」  「じゃあ、私が借りる」  「詩野輪さんはだめ」  「私はだめなんだね。なら、あなたが持ってなさい。それでも、まだ、しくしくしながらまにさんに貸すって言うなら、私に貸して」  「えー」  「誰でもいいから、フルドンにシャカシャカしたものを見せないか?」  そろそろ、ワンリックが口を(はさ)むと、梨吹が手をあげ、そうっと三匹のブタのところに行った。ブタは三匹とも梨吹を見て威嚇をしていた。  「やっぱり、梨吹ちゃんだけ行かせるの心配だよ」  「ここでお前も行くと、襲いかかってくる可能性大だ。もう少し様子を見るんだ」  ワンリックに言われたことで玲月は「はい」と頷き、梨吹を見守る。  梨吹は三匹のブタに囲まれ、緊張しながらネックレスのウィッシングボトルを、白とベージュのブタの前で振ってみた。すると、元の犬の姿に戻った。梨吹たちからはブルドッグに見え、みんながフルドンのことを可愛いと言っていた。
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