最終話、ここにいるということ

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 フルドンはミーケの姿が見えるとワンと吠え、駆け寄った。フルドンの鳴き声にブタ二匹は驚き、逃げ出してしまった。  ミーケとフルドンは梨吹たちを見ながら、ニャーニャー、ワンワン鳴いていた。ミーケとフルドンの言っていることを、ワンリックはまとめて伝える。  「りふたち喜べ。フルドンがヴェノモを案内してくれるってさ」  「助かります」  「ありがとう、フルドンくん」  「心強いよ」  梨吹たちに言われ、フルドンは照れくさくなっていた。くーんと鳴く。その後、フルドンはワンと鳴き、ミーケと先に走り出した。  「ついて来いだって。行こう」  ワンリックも梨吹たちを促したあとに走り、少女たちもあとを追った。走っているうちに、梨吹はもうすっかり泣き止んだようだ。リボンヘアゴムを失ったことや、お姉さんが消えてしまったことでまだ悲しい気持ちは残っていたものの、梨吹は俊五やワモを探すことに気持ちが切り替えられたようだ。  「さっきより元気そうじゃない」  麗未に声を掛けられ、梨吹はにっと笑っていた。そんな少女の笑顔がまぶしかったか、麗未はそっぽを向き、走るペースを上げた。梨吹を心配していた玲月もホッとした表情だった。  フルドンの案内により、梨吹たちはまず、八つの分かれ道の左から二番目の道を進んだ。次も八つの分かれ道に差し掛かり、左から四番目の道を進んだ。その次も八つの分かれ道で、一番左の道を進んだ。
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