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「ワグ、隣の対決、気にしてる場合じゃねえぞ。こっちの勝負だって、まだ終わってないんだからな。お前がギブアップするまでオレは続ける」
「えー、おしまいにしようよー。こっちの対決、つまらないよ。お兄ちゃん、ダンスが下手すぎなんだもん」
「おしまいにしたら、お前の負けになるけど、いいのか?」
ワモがにやりとした顔で言うと、ワグはムカッとなっていた。
「もう、さっさとギブアップしてよ、お兄ちゃん」
「嫌だよー」
俊五たちの対決を見ていた梨吹たちは、相手が負けを認めるまで立ち向かう少年たちの姿勢に心打たれていた。梨吹はワモとワグを見たあと、俊五をじっと見ていた。すると、少年が梨吹の方を向いた。視線が合い、少女の方が恥ずかしくなり、そらしてしまう。玲月と麗未は俊五たちの対決を目にして、自分の特技が得意になるまでどうしていたか、ジュアリが言っていた言葉とともに思い出していた。
「私、思いついたかもしれない」
「しのっちゃん、私もだよ」
「思いついたって?」
麗未と玲月に梨吹が尋ねると、二人は説明を行動で示した。玲月はハンカチと裁縫セットを取り出し、麗未は発声練習を始めていた。ワンリックとミーケとフルドンは目をパチクリさせていたが、梨吹は分かってきたようだ。
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