最終話、ここにいるということ

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 「れっちゃんと詩野輪さん、練習してるんだ。特技が出来るようになるまで、練習して努力をいっぱいするから」  「あ、そっか。ウェースさーん、どんどんボール投げて下さーい」  「ワグ、もっとお兄ちゃんとダンス対決しようぜー」  梨吹の言葉にぴんときた俊五とワモは気合いが入っていた。ウェースとワグはいつもとちがった二人の表情にひるむ。周りを囲んでいたブタもブーブー騒ぎ出していたが、ウェースが怒鳴ったことで静かになった。ルニカが拾い集めたボールがきたあと、彼は俊五にボールをずっと投げ続けた。俊五は打つとき、空振りをしまくっていたが、野球を始めた頃のことを思い出し、笑っていた。ワモもブレイクダンスが最初は出来ず、失敗をたくさんしていた頃のことを思い出し、笑っていた。  「お前たち、よく笑っていられるな」  「そうだよ、負けるのに」  「確かにな。オレたちは特技を盗まれて今は何も出来ない状態だ。これじゃあ、あんたたちに勝つのは難しいと思う。けれど、それでも練習を続けることでまた野球が出来るようになるなら、何球でも来いだ。勝負です、ウェースさん」  「おー、しゅんさんに負けていられないなー。どうした、ワグ? もうバテたのか? オレはまた踊れるようになるまではダンスを続けまくるぜ。ほら、次はお前が踊る番だぞ。ダンスをもっと見せてくれよ」
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