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玲月の声に反応した男子中学生はヘルメットを脱いだ。野球のユニフォームを着たジェットモヒカンの髪型の男子は、風雅俊五だ。俊五は梨吹たちのところに来てくれた。
「満仁崎、何だ?」
俊五は尋ねたあと、梨吹と目が合うと視線をそらした。梨吹は苦笑をしながら、玲月と俊五の会話を聞く。
「さすが班長。モテモテだね」
「班長って、もうオレ、班長じゃねえし」
「風雅さん、れっちゃんの登校班の班長?」
「ちがう、ちがう、縦割りの班長」
梨吹の質問に笑って答えた俊五だ。
「しゅんさんとはご近所で二年前、登校班の班長もやってた。けれど、今の話は縦割りの班長が主かな」
「そのときもモテモテ?」
「ううん、今とちがってそこまで目立ってなかった」
「そうなんだ。風雅さん、小学校入ってからずっとモテているかと思ってた」
「オレ、どれだけカッコイイ小学生になっているんだ。それより、満仁崎、何の用で呼んだんだ?」
「いや、そんな用はないけどね」
「なら呼ぶなって……」
「うちのお母さんがたまには遊びに来てって言ってたよ」
「ああ、行く行く。お前のおふくろの作ったお菓子、おいしいもんな。そのうち、遊びに行くって言っておいてよ」
「了解。そのときは、梨吹ちゃんも来ない?」
「うん、ぜひ行きたいな」
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