第1話、リボンヘアゴムがない

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 玲月の声に反応した男子中学生はヘルメットを脱いだ。野球のユニフォームを着たジェットモヒカンの髪型の男子は、風雅(ふうが)俊五(しゅんご)だ。俊五は梨吹たちのところに来てくれた。  「満仁崎、何だ?」  俊五は尋ねたあと、梨吹と目が合うと視線をそらした。梨吹は苦笑をしながら、玲月と俊五の会話を聞く。  「さすが班長。モテモテだね」  「班長って、もうオレ、班長じゃねえし」  「風雅さん、れっちゃんの登校班の班長?」  「ちがう、ちがう、縦割りの班長」  梨吹の質問に笑って答えた俊五だ。  「しゅんさんとはご近所で二年前、登校班の班長もやってた。けれど、今の話は縦割りの班長が(おも)かな」  「そのときもモテモテ?」  「ううん、今とちがってそこまで目立ってなかった」  「そうなんだ。風雅さん、小学校入ってからずっとモテているかと思ってた」  「オレ、どれだけカッコイイ小学生になっているんだ。それより、満仁崎、何の用で呼んだんだ?」  「いや、そんな用はないけどね」  「なら呼ぶなって……」  「うちのお母さんがたまには遊びに来てって言ってたよ」  「ああ、行く行く。お前のおふくろの作ったお菓子、おいしいもんな。そのうち、遊びに行くって言っておいてよ」  「了解。そのときは、梨吹ちゃんも来ない?」  「うん、ぜひ行きたいな」
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