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梨吹たち三人が和んで話していると、麗未がやってきた。
「私も、まにさん家に行ってもいい?」
「うん、しのっちゃんも来て来て」
「れっちゃん、ごめん。やっぱり私はいいかな」
「えー、残念だな」
「大深さん、私が来るから嫌なんでしょ」
「そういうわけじゃないけど……」
「それなら、一緒だっていいじゃない」
「でも、私いたら多分、詩野輪さんの邪魔になるよ」
梨吹の言葉を聞き、麗未は怒ったような表情になる。
「まにさん、ごめんなさい。やっぱり今回、遠慮する。今度は大深さんがいないときに誘って」
麗未の言い方にカチンとなっていた梨吹だが、
「そんな言い方、ないんじゃない」
と、俊五が言ってくれたことに驚く。麗未は梨吹に謝った。俊五がその後、麗未に微笑むと、少女の顔は赤くなった。梨吹と玲月は麗未の気持ちを察し、少女と俊五を交互に見ていた。玲月の方はニヤニヤしている。ヘルメットを被り直し、俊五が部活の野球の練習に戻るときも、麗未は少年の後ろ姿を見つめていた。梨吹と玲月が先に帰ろうとすると、麗未は慌てながらついてきた。
「待って、一緒に帰ろう」
「いいよー」
玲月は麗未を手招きしていたが、梨吹は少女の方を見ずに前を歩いていた。玲月と麗未は後ろで俊五のことについて盛り上がっていたが、梨吹は興味がないようだ。目を閉じながら二人の会話を聞いていた。
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