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深々と頭を下げて、帆波と凪智にお願いをした。
恥ずかしながら、自分で決心したといってもやっぱり私は子どもで、とことん弱くて。誰かに背中を押されないと、この体の震えすら止められない。
誰でもいい、でも少しの我儘を足したら誰でもいいわけじゃない、ずっと私と過ごして、私のことを分かってくれてる、
友達から、言葉がもらいたい。
「……絶交中の、親友は、こう言ってます」
震える声が耳に届いた。高くて女の子らしい声は私の耳を心地よく滑り、小さな手は私の頭を優しく撫でた。
「……、絶交なんて今この瞬間解消したし、もう全然、怒ってないから……っ、いや、ほんとはちょっと怒ってるけど、もし、もしカイくんがテンを泣かしたら、ぶん殴ってやるから……っ、」
「……ほな、み、」
「私の大事な親友は、お前なんかにもったいないって、殴ってやるから……っ、」
「…………っ、」
「……、……なんでこんなになるまで、我慢してたのよぉ、……っ、」
「……っ、ごめん、」
決壊した涙腺からぽろぽろと溢れて止まらない。顔を上げることの出来ないに、「ばか……、」と文句を言いながらも、頭を撫でるその手は果てしなく優しい。
「……じゃあ、元彼の俺からも」
同じように乗せられた手のひらに、温かさが加算されて、息をするように泣いてしまう私に凪智の優しい声が届く。
「あいつよりいい男なんて星の数ほどいるよ」
それはない、とすぐ否定したら、「じゃあ星の数以上にあいつのこと好きってことだな」、と凪智の穏やかな声が続く。
「……俺の負け。
テンの気持ちの方が、ずっと強いよ」
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