Celeste blue

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でも、俺のことを考えて泣くソラもグッとくるんだよな、なんてさすがに口には出せなかったから心に閉まって。 置いてく側の言い分なんて、 置いてかれる側にとっては、 気休めのひとつにすらなりやしない。 そんなこと、一番よく分かってるから、俺もソラも別れるその日まで、いつも通り浜辺を散歩して、シーグラスを見つけて、太陽が落ちたり上がったりするのをぼんやりと眺めて過ごした。 東京には何でもあったけど、目を見張るような青空も、飛び込みたくなるくらいの海の透明度も、もちろん、恋焦がれた彼女もいないから、高層ビルが羅列した濁った空を見上げて、結局何かを探していた。 探していた、ずっと。 それが何かなんて出会ったその日から分かってる。 昨日の夜電話した時、「明日会えるんだねー、楽しみだなー、楽しみすぎて寝れないよー、どうしよー」とか言ってたわりには10分後に寝息をたてていて。 なんだよ、俺は全然寝れねえのに、挙句朝になったら電話切れてるし。 ──遠距離の彼女がいるんです、と人に言えば 「えらいね」「どうせ続かないよ」「すぐ別れるんじゃない?」なんて言われるけど。 そんなこと分かってる。高校生の好きなんて、風が吹けば簡単に吹き飛ばされてしまうくらい、軽くて安っぽくて、その場限りの欲と楽しさに手を出した結果だから。
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