Ocean blue

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海の水に触れかかるくらいのもはや浅瀬を歩きながら、視界を支配するそれに近づいていく。何度も肌を撫でて足の指を擽っていく水は、今日も青くほんの少しだけ冷たい。 でもそんなの気にならないくらい、夢中だった。のんびり歩いていた足を、逸る気持ちのまま速くさせた。そうしてまた、拾い上げる・・・・・ために私はしゃがみ込む。 透明な水に晒された亜麻色が酷く儚げに揺れていた。目を離したら溶けていってしまうんじゃないかと、思うくらいに薄くて怖かった。 横に一本、引いた線から現れる、黄色い丸が空を黄褐色から始まるあまりに濃厚な青へと染め上げる。泣きそうになるくらい美しく、死にたいとも生きたいとも思わせるくらいに魔性な空に包まれる海を前にして、 私は、あなたと、出会った。 「あの、」 「生きてます?」
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