僕と君の探しもの

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久しぶりの休日。 疲れていたので昼まで寝ようと思っていたのに、朝から電話がかかってきた。 実家の家電からだ。 「令ちゃん。母さんだけど。」 「何だよ?」 僕は不機嫌そうに返事した。 「ごめんね。寝てたよね。」 「うん・・・」 「ちょっと・・・携帯電話・・・落としちゃったの」 「落とした?」 「朝早く、中山牧場の一番上にある橋の下でフキ採ってたんだよね。いいフキがいっぱいあってさ。だけど家に戻ってきたら携帯電話がないんだよ。山で何かあったら困ると思って、携帯電話をお尻のポケットに入れて行ったんだ。だけど夢中でフキ採ってるうちに、どうも落としちゃったみたいなんだよね。悪いけどさ。探しに行ってくれない?近くまで行って、あなたの電話から電話をかければ、どこにあるかわかると思うんだよね。」 「はぁ~~~っ!」 僕は、ため息で返事した。 仕方がない。 僕は、軽4輪に乗って母さんの携帯電話を探しに出かけた。 天気が良いのが、まだしも不幸中の幸い。 どうせ山に行くなら自分も山菜を採って来よう。 わらび、タラの芽、フキなどを採りながら、山道を少しずつ登って行く。 母さんが、そこで落としたという一番上の橋の下に下りる。 確かに、いいフキがたくさんある。 母さんが採ったらしい跡もある。 僕は、その場所で母さんの携帯電話に電話をかけた。 母さんの携帯電話の賑やかな着信音が聞こえない。 派手なピンクの携帯ケースも見当たらない。 かなり広範囲に渡って探してみたが電話は見つからなかった。 山菜採りに来た誰かが先に見つけて交番に届けたかもしれない。 とにかく家に戻ろうと思う。 戻りかけた時、道路から少し離れた高いところに展望台を発見した。 せっかくだから上に上って景色を見てみよう。 僕は車から降りて、展望台に上った。 素晴らしい景色だ。021148b0-62ef-47af-9ccf-91032a789544
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