秘書、副業を決意する。

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秘書、副業を決意する。

「先生、これ本日の予定になります。」 「あぁ、はいはい……え、なにこれ!」 「どうかしましたか?」 おそらく文句を言うだろうと予想はしていたが、案の定だ。 「ぜんっぜん、空いてる時間がないじゃないか!」 「申し訳ありません。 午後から感染症委員会が、臨時で会議を開くことになりました。 院長先生にも出席していただきたいとのことでしたので、急遽、予定を入れました。」 私のせいじゃないもん。 文句なら、あの横柄な外科部長に言ってほしい。 「えー! その後、製薬会社のアポが3件だよ⁉︎ ティータイムが取れないじゃないか〜。」 もうっ! 我儘言わないで。 大病院の院長ともあろう人が。 「……今朝、奥様からお電話がありました。 数値、また上がったんですって? そう仰ってました。 …おやつ、1週間抜きますよ。」 「エェェェェーーーーー………」 あ、ムンクの叫びみたいになってる。
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