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洞窟にて
「ねえ、覚えてる?」
イライザ・ペングローブは、はにかみながら言った。
「何を?」
ちょうどいい岩を見つけて腰掛けると、マホガニー・ピーコックが聞き返した。
「たしか、シラクサだったと思うわ」と、イライザ・ペングローブ。
「シラクサ?それってどこ?」と、マホガニー・ピーコック。
「たぶんシチリア島だと思うけど」と、イライザ。
「シチリア島なんか、行ったことないけど」と、マホガニー。
ふたりはまだ若く、まるでジュリエットとロミオのようだった。先週末のダンスパーティーで知り合い、お互いにひと目ぼれだった。とはいえ、パーティーは仮面舞踏会だったのだが。
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