砕け落ちたミルクパズル

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「ねぇ、覚えてる? 私のこと」  彼女は静かに問う。 「…………あぁ、覚えてる」  そう答えるしかなかった。そして、せめてもの抵抗か、はたまたその記憶を忘れていてほしいのか、俺は彼女の真似をして問うのだ。 「……なぁ、覚えてるか?」  それはきっと、逃げ続ける俺への問いだった。 「――俺が、お前を殺した日のこと」  茜が広がった混凝土の上で、白いパズルが砕け散った。  
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