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罪の経歴(弐)
俺には俺の生き方がある。。
フラフラーッと俺は外に出た。もうすべてがどうでも良くなった。
今思えば、この頃の俺はまだ人間らしく生きていたのかも知れない。
感情もそこそこあったはずだ。
外に出ると、俺は無意識に手に持ったナイフを振りかざした。
通り過ぎる人々が悲鳴を上げる。
空を切っていたはずのナイフは、おもむろに人に当たった。
突き刺すようにグサリと。。
これは事故だった。
振り回していたら、当たってしまっただけ。
だが、この後俺は振り回していたナイフを止められなかった。
服や顔に他人の血を浴びた俺は、そのまま近くにいる人たちに歩み寄る。
恐怖に戦く人たちの歪んだ表情。。
そして俺は数人の人を手にかけた。。
「ーーきゃーー!!通り魔よ!逃げて!!」
野太い声で、おそらく女だろう人が言った。
その横でもう一人の女性が電話をしている。
「ーー助けてください。殺される」
警察に電話し、切羽詰まった声で女は言った。
「場所はどこですか?」
今呑気にそんな事を答えられる猶予はないと言うのに。。仕方なく現在地を伝えようと神奈川県○○市まで言った時。。
「おいっ、そこで電話してるあんたーー狙われてるぞ!!」
誰が言ったのか?不明だが、そんな声に気付き、ふと顔を上げる。
血だらけの男が、こちら側に向かいフラフラと歩いてくる。
その血にまみれた顔で、笑いながら。。
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